テイク ディス ワルツ。 弱冠33歳にして恐るべし人間観察力! サラ・ポーリー、監督第2作を語る|ニュース

水のトラブル日記takethiswaltz

テイク ディス ワルツ

ネタバレ! クリックして本文を読む 幸せに鈍感じゃない。 寂しさに敏感なだけ。 でも私は、全てに鈍感になりたいです。 小説家を諦めたマーゴ ミシェル・ウィリアムズ は、ライターをしている。 チキン料理のレシピ本を書いてる夫ルー セス・ローゲン とは、結婚五年目。 子供はいない。 が、傍目からは夫婦ラブラブだと思われています。 ある日、取材先で知り合ったダニエル ルー・カービー の家が、なんと向いだったと分かる!そして互いに気になり出して……。 夫のことを愛していて不倫願望もないのだけど、マーゴとダニエルは段々と惹かれていきます。 一人で道路を歩いてると、木々の隙間から太陽が一筋差して来て、それを見ると泣きたくなる。 勿論私は大人だから、泣かないのよ。 ってマーゴが語るところ、凄くよく分かると思った。 これ、結婚生活の、人生のメタファーですよね。 でも大抵の人は、見なかったことにする。 気付かない人もいる。 私の場合は、テーブルクロスの折り目が一カ所気になる感じ。 そこが、なんか変なんです。 一カ所だからいいじゃないっていう人もいるだろうし、それ自分で編み直せという人もいるだろうけど。 そういうんじゃない。 いつもそこを、指でゴシゴシしてしまう。 そういうのが気にならない、鈍感な女になりたいです(こういう作品を、単なる不倫映画じゃない!とか言える女になりたいです)。 女優サラ・ポーリー、監督二作目です。 サラは私が気になる折り目を、丁寧に描いてくれた。 凄い!さっそく、監督一作目の「アウェイ・フロム・ハー君を想う」も年老いた夫婦の心の機微が、とてもよく描かれています。 サラ監督はまだ若いのに、どうしてこんな題材で?と思いましたが、それは生い立ちに関係あるのかもしれません("物語る私たち"観賞済み)。 ダニエルは、画家の感性でそんなマーゴを見抜いてしまう。 マーゴの影に、寂しげな別人格がいるような絵を描く。 見抜かれるのって、怖いけど。 なんか力が抜ける心地よさがあります。 私も見抜いて欲しい。 誰かに。 ダニエルは絵では食べていけないので、湖畔の傍で人力車で稼いでます。 人力車!なんて可愛い仕事!そう、本作は凄くポップで可愛くて、でも女性の心の機微を表す秋風(セピア)色の映像が素敵なんです。 その風景の中で、若干ぽっちゃり気味のミシェルが、流行遅れのワンピースを着て、The Buggles - Video Killed The Radio Starをバックにふわふわ揺れています。 この全てが中途半端な可愛さが、堪らないです。 ダニエルは一見すると軽いので、直ぐにそういう関係になるのかな?と思うんですが、二人はキスさえしない。 お互いにニコニコ見つめ合いながら、デートを重ねるだけです。 マーゴがダニエルに言うんですよ。 「三十年後にデートの約束をしましょう。 夫に三十五年も尽くしたら、キスくらい許されると思うの」 うわー、ぐっと来た! けど昼間のカフェでエロトークしたり、プールの中で触れそうで触れない、なんだか水圧で相手に触れる的な?高度なバーチャル・スイミング・セックスをしたりするんです。 なんだこのシーン!凄いなぁ-。 サラ・ポーリー監督!凄いわ!もう監督業に専念した方がいいと思う。 でもダニエルが引っ越して遠くに行くと思ったら、堪らなくなるんです。 ルーに気持ちを、打ち明けます。 二者選択の瞬間です。 大好きなダニエルを思ってルーと暮らすか、ルーを捨てたことに罪悪感を抱えつつ、大好きなダニエルと生きるか。 実はここの部屋、急にシャワーが水になるんです。 マーゴは壊れてた!っていつも怒る。 でもこれ、ルーの悪戯だったんですよ。 「八十歳になったら、悪戯してたって告白するつもりだった」って。 長い悪戯だろ?って。 あぁ、泣く台詞です。 でもその工夫を、普段の生活に生かせばいいのにと思ってしまう。 ごめんよ、ルー。 でも愛されてても、埋まらない孤独とか、消えない不安ってあるんですよね。 心に刺さった釘が、どんどん錆びていく感じ。 きっとそれは、ルーでは抜けないんです。 食事する時ルーとの会話がないとか、ルーが退屈とか、優しいとか、そんなんじゃなくて。 ルーはその釘すら、きっと見抜けない人なんです。 残念ながら。 本作が好きなのは、マーゴは決意しそのリスクを負うから。 それと現実と夢のバランスが凄くいいです。 二者選択。 選択、後悔、選択、後悔。 人生はこの繰り返しのような気がする。 ヴェンダースの『アメリカ、家族のいる風景』で、なんだかサラ・ポーリーに惹かれてしまいまして、その流れで監督作を見てみましたよ。 そしたら、ちゃんと『アメリカ』の時の、サラ・ポーリーを感じることができた気がします。 出会いたい女性に出会えたっていうかね。 どこか、男性からすると、手の届かないところを持っている女性な気がしたんですよね、サラ・ポーリーって。 それがそのままこの作品の主題になっていた感じがしましたです。 その意味では、このミシェル・ウィリアムズはそのままサラ・ポーリーな気がしましたね。 で、そういう女性は・・・怖いのです・・・ どうしても惹かれてしまうんですけど・・・でも・・・怖いのです・・・ というわけで、怖い、怖い、映画でした。 ネタバレ! クリックして本文を読む マーゴがルーの髪や身体に触ったり、愛してるというのは、自分を彼の元に留めておくためのおまじないのようなもの。 自分の心がルーから離れていってしまうのが怖い。 でも、自分の心でさえ自分の思う通りにはならない。 もし、ダニエルがあんなに近くにいなければ、彼女のおまじないは効いたかもしれない。 でも、彼はあまりにも近くにいた。 そして、ダニエルは彼女が自分の意思で彼を選ぶまで決して無理強いせずにじっと待っていた。 ルーの元から離れたマーゴに彼のアルコール依存症の姉ジェリーが言う。 「人生っていうのはどこか物足りなくて当然なの。 抵抗するなんてバカみたい」 ダニエルと暮らすようになったマーゴ。 彼女はまたおまじないを始めていた。 ザ・バグルスの「ラジオスターの悲劇」は何度も聴いている筈なのに、こんなに切なく聴こえる曲だったとは。 満ち足りた時間なんて遊園地の乗り物のようにほんのつかの間でしかない。 それを象徴しているようで美しくも切ないラストシーンだった。 マーゴ役もこの作品自体もはM・ウィリアムズのイノセンスを感じさせる魅力なくして成立しなかったと思う。 違う女優、たとえ監督のサラ・ポーリーが演じたとしても、まったく違った作品になってしまったんじゃないかと思う。 夫に不満があるわけじゃない。 恋がしたいと思っているわけでもない。 そんな主婦が近所の青年と知り合って・・・ これって女の夢物語かな? この恋愛はすごく情熱的なものじゃなくて、じわじわと胸に迫ってくる愛。 でも、かけがえのない愛。 男も強引じゃないところが、理想的。 女が近づいて来てくれるのをただ待っている。 ミッシェル・ウィリアムズって、アカデミー賞の候補になるような女優かな?って、正直思っていたけれど、この作品で初めて彼女のうまさに気づいた。 日常生活の中のいろいろな表情をすくいとるのがとってもうまいと思った。 破滅的な愛にあこがれることがなくもないけれど、こういう静かで落ち着いた愛もいいね。 観終わった後、幸せな気分になれた映画だった。 現実はこうはいかないだろうから、せめてスクリーン上はこういう愛の姿を観せてもらえるとうれしいな。 ハッキリ言うと、内容は40分で充分だ。 ・・両立しない性質だ。 観た後の聞きたい曲?】 バングルズやカーペンターズ???(80s〜90s???) 80円すら返して欲しいと思っちゃった。 まず注目すべきは登場人物らが発する台詞。 一つ一つの台詞がそれぞれの気持ちを暗示している。 そのときは何のことかよく分からなくても後々につながってくる物があるのだ。 この巧みな台詞使いがこの映画のポイントであろう。 さらに映し出される映像もとても美しい。 冒頭部分のピントの合っていない台所のシーンは幻想的で色鮮やかなのに、それでいて哀しさに満ちている。 マーゴとダニエルが遊園地の乗り物に乗るシーン。 きらびやかで楽しげな音楽がかかる中、二人は嬉しそうな表情から悲しそうな表情へと移り変わる。 赤を基調とした映像から突然、くすんだような灰色っぽい映像に変わる。 このそれぞれにマーゴを中心としたキャラクターの感情が込められている。 ただ残念なことに、好きなシーンが多かったのにも関わらず、僕はこの映画を心から愛することはできなかった。 その最たる理由はマーゴに共感できなかったことだろう。 ダニエルと初めて関係を持つシーンがあるのだが、あまりにもストレートな描き方なので正直少し引いてしまった。 もちろんこれにも意味があり、「愛も初めは情熱的な盛り上がりを見せるが、結局は冷めてしまう」ことを表している。 このテーマ性は理解できるが、それまでは幻想的な映像が多かったのに、急に方向転換されるとさすがに戸惑う。 マーゴが余計に酷い人物に見えてしまうのだ。 だけど何度も言っているように全体的にはすごく好きだ。 一番好きなシーンはダニエルが引っ張る人力車にマーゴとルーが乗るシーン。 とても悲しくて胸が締め付けられる場面だ。 反してカラフルな町中の映像が余計にそれを際立たせる。 映画の方向性をもう少し統一できれば、名作になれたかもしれない。 だけどサラ・ポーリーに監督としての腕があることは間違いない。 次回作に期待するとしよう。 (2012年9月2日鑑賞).

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『テイク・ディス・ワルツ』

テイク ディス ワルツ

『テイク・ディス・ワルツ』は、幸せなはずの結婚生活を送るヒロインが、別の男性に心惹かれてしまい、抑えきれない感情や欲望に揺れ動く姿を、詩情あふれる映像で綴った人間ドラマ。 「結婚したカップルに何が起きるのか? 誰かとの関係はずっと続くのか? なぜ私たちは人生に何かが欠けていると感じ、埋めてくれる相手を探してしまうのか? 興味深かったのは、多くの人がこの映画を『精神的に未熟』だと批判したこと。 主人公には素晴らしい夫がいるのに、捨てようとするなんてけしからんって(笑)。 でも一方で『もっと早く別れるべきだった』と言う人もいれば、夫が犯している大きな間違いに気づく人もいる。 本当にいろんな感想があって、観た人が語り合ってくれていることが嬉しいの」 主人公のマーゴを演じたのは、ポーリーが「彼女しかいない」と白羽の矢を立てたミシェル・ウィリアムズ。 「実は自分で脚本を書いたくせに、マーゴがどんな人物なのかつかみかねていた。 でもミシェルはまるで演技なんかしてないみたいに、自然にマーゴになりきっていた。 ミシェルの演技を通じてようやくマーゴを理解することができたわ」 コメディが主戦場のセス・ローゲンも、マーゴの夫役でミシェルに負けない名演技を披露している。 特に別れ話を切り出されたときのクローズアップは圧巻で、ポーリーは2時間半もローゲンの表情を撮り続けた。 「セスにはただ『ミシェルと話してちょうだい、ミシェルがあなたに別れ話をするから』って伝えただけだった。 さすがに疲労困憊してたけど、あの状況に置かれた人に湧き上がるすべての感情を表現してくれた。 そしてミシェルも、カメラの横でボロ泣きしながらずっと素晴らしい演技を続けてくれていたの。 『ああ、今の彼女を撮影してないなんて!』って後ろめたい気分になったわ(笑)」 監督として新たな到達点に立っただけでなく、ミシェルとローゲンからキャリア最高のパフォーマンスを引き出したポーリーはまだ33歳。 そのとてつもない才能の輝きを感じるには、映画館が打ってつけの場所であることは間違いない。 取材・文:村山章 『テイク・ディス・ワルツ』 8月11日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー 【関連リンク】 【注目のニュース】.

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テイク ディス ワルツ

ネタバレ! クリックして本文を読む 幸せに鈍感じゃない。 寂しさに敏感なだけ。 でも私は、全てに鈍感になりたいです。 小説家を諦めたマーゴ ミシェル・ウィリアムズ は、ライターをしている。 チキン料理のレシピ本を書いてる夫ルー セス・ローゲン とは、結婚五年目。 子供はいない。 が、傍目からは夫婦ラブラブだと思われています。 ある日、取材先で知り合ったダニエル ルー・カービー の家が、なんと向いだったと分かる!そして互いに気になり出して……。 夫のことを愛していて不倫願望もないのだけど、マーゴとダニエルは段々と惹かれていきます。 一人で道路を歩いてると、木々の隙間から太陽が一筋差して来て、それを見ると泣きたくなる。 勿論私は大人だから、泣かないのよ。 ってマーゴが語るところ、凄くよく分かると思った。 これ、結婚生活の、人生のメタファーですよね。 でも大抵の人は、見なかったことにする。 気付かない人もいる。 私の場合は、テーブルクロスの折り目が一カ所気になる感じ。 そこが、なんか変なんです。 一カ所だからいいじゃないっていう人もいるだろうし、それ自分で編み直せという人もいるだろうけど。 そういうんじゃない。 いつもそこを、指でゴシゴシしてしまう。 そういうのが気にならない、鈍感な女になりたいです(こういう作品を、単なる不倫映画じゃない!とか言える女になりたいです)。 女優サラ・ポーリー、監督二作目です。 サラは私が気になる折り目を、丁寧に描いてくれた。 凄い!さっそく、監督一作目の「アウェイ・フロム・ハー君を想う」も年老いた夫婦の心の機微が、とてもよく描かれています。 サラ監督はまだ若いのに、どうしてこんな題材で?と思いましたが、それは生い立ちに関係あるのかもしれません("物語る私たち"観賞済み)。 ダニエルは、画家の感性でそんなマーゴを見抜いてしまう。 マーゴの影に、寂しげな別人格がいるような絵を描く。 見抜かれるのって、怖いけど。 なんか力が抜ける心地よさがあります。 私も見抜いて欲しい。 誰かに。 ダニエルは絵では食べていけないので、湖畔の傍で人力車で稼いでます。 人力車!なんて可愛い仕事!そう、本作は凄くポップで可愛くて、でも女性の心の機微を表す秋風(セピア)色の映像が素敵なんです。 その風景の中で、若干ぽっちゃり気味のミシェルが、流行遅れのワンピースを着て、The Buggles - Video Killed The Radio Starをバックにふわふわ揺れています。 この全てが中途半端な可愛さが、堪らないです。 ダニエルは一見すると軽いので、直ぐにそういう関係になるのかな?と思うんですが、二人はキスさえしない。 お互いにニコニコ見つめ合いながら、デートを重ねるだけです。 マーゴがダニエルに言うんですよ。 「三十年後にデートの約束をしましょう。 夫に三十五年も尽くしたら、キスくらい許されると思うの」 うわー、ぐっと来た! けど昼間のカフェでエロトークしたり、プールの中で触れそうで触れない、なんだか水圧で相手に触れる的な?高度なバーチャル・スイミング・セックスをしたりするんです。 なんだこのシーン!凄いなぁ-。 サラ・ポーリー監督!凄いわ!もう監督業に専念した方がいいと思う。 でもダニエルが引っ越して遠くに行くと思ったら、堪らなくなるんです。 ルーに気持ちを、打ち明けます。 二者選択の瞬間です。 大好きなダニエルを思ってルーと暮らすか、ルーを捨てたことに罪悪感を抱えつつ、大好きなダニエルと生きるか。 実はここの部屋、急にシャワーが水になるんです。 マーゴは壊れてた!っていつも怒る。 でもこれ、ルーの悪戯だったんですよ。 「八十歳になったら、悪戯してたって告白するつもりだった」って。 長い悪戯だろ?って。 あぁ、泣く台詞です。 でもその工夫を、普段の生活に生かせばいいのにと思ってしまう。 ごめんよ、ルー。 でも愛されてても、埋まらない孤独とか、消えない不安ってあるんですよね。 心に刺さった釘が、どんどん錆びていく感じ。 きっとそれは、ルーでは抜けないんです。 食事する時ルーとの会話がないとか、ルーが退屈とか、優しいとか、そんなんじゃなくて。 ルーはその釘すら、きっと見抜けない人なんです。 残念ながら。 本作が好きなのは、マーゴは決意しそのリスクを負うから。 それと現実と夢のバランスが凄くいいです。 二者選択。 選択、後悔、選択、後悔。 人生はこの繰り返しのような気がする。 ヴェンダースの『アメリカ、家族のいる風景』で、なんだかサラ・ポーリーに惹かれてしまいまして、その流れで監督作を見てみましたよ。 そしたら、ちゃんと『アメリカ』の時の、サラ・ポーリーを感じることができた気がします。 出会いたい女性に出会えたっていうかね。 どこか、男性からすると、手の届かないところを持っている女性な気がしたんですよね、サラ・ポーリーって。 それがそのままこの作品の主題になっていた感じがしましたです。 その意味では、このミシェル・ウィリアムズはそのままサラ・ポーリーな気がしましたね。 で、そういう女性は・・・怖いのです・・・ どうしても惹かれてしまうんですけど・・・でも・・・怖いのです・・・ というわけで、怖い、怖い、映画でした。 ネタバレ! クリックして本文を読む マーゴがルーの髪や身体に触ったり、愛してるというのは、自分を彼の元に留めておくためのおまじないのようなもの。 自分の心がルーから離れていってしまうのが怖い。 でも、自分の心でさえ自分の思う通りにはならない。 もし、ダニエルがあんなに近くにいなければ、彼女のおまじないは効いたかもしれない。 でも、彼はあまりにも近くにいた。 そして、ダニエルは彼女が自分の意思で彼を選ぶまで決して無理強いせずにじっと待っていた。 ルーの元から離れたマーゴに彼のアルコール依存症の姉ジェリーが言う。 「人生っていうのはどこか物足りなくて当然なの。 抵抗するなんてバカみたい」 ダニエルと暮らすようになったマーゴ。 彼女はまたおまじないを始めていた。 ザ・バグルスの「ラジオスターの悲劇」は何度も聴いている筈なのに、こんなに切なく聴こえる曲だったとは。 満ち足りた時間なんて遊園地の乗り物のようにほんのつかの間でしかない。 それを象徴しているようで美しくも切ないラストシーンだった。 マーゴ役もこの作品自体もはM・ウィリアムズのイノセンスを感じさせる魅力なくして成立しなかったと思う。 違う女優、たとえ監督のサラ・ポーリーが演じたとしても、まったく違った作品になってしまったんじゃないかと思う。 夫に不満があるわけじゃない。 恋がしたいと思っているわけでもない。 そんな主婦が近所の青年と知り合って・・・ これって女の夢物語かな? この恋愛はすごく情熱的なものじゃなくて、じわじわと胸に迫ってくる愛。 でも、かけがえのない愛。 男も強引じゃないところが、理想的。 女が近づいて来てくれるのをただ待っている。 ミッシェル・ウィリアムズって、アカデミー賞の候補になるような女優かな?って、正直思っていたけれど、この作品で初めて彼女のうまさに気づいた。 日常生活の中のいろいろな表情をすくいとるのがとってもうまいと思った。 破滅的な愛にあこがれることがなくもないけれど、こういう静かで落ち着いた愛もいいね。 観終わった後、幸せな気分になれた映画だった。 現実はこうはいかないだろうから、せめてスクリーン上はこういう愛の姿を観せてもらえるとうれしいな。 ハッキリ言うと、内容は40分で充分だ。 ・・両立しない性質だ。 観た後の聞きたい曲?】 バングルズやカーペンターズ???(80s〜90s???) 80円すら返して欲しいと思っちゃった。 まず注目すべきは登場人物らが発する台詞。 一つ一つの台詞がそれぞれの気持ちを暗示している。 そのときは何のことかよく分からなくても後々につながってくる物があるのだ。 この巧みな台詞使いがこの映画のポイントであろう。 さらに映し出される映像もとても美しい。 冒頭部分のピントの合っていない台所のシーンは幻想的で色鮮やかなのに、それでいて哀しさに満ちている。 マーゴとダニエルが遊園地の乗り物に乗るシーン。 きらびやかで楽しげな音楽がかかる中、二人は嬉しそうな表情から悲しそうな表情へと移り変わる。 赤を基調とした映像から突然、くすんだような灰色っぽい映像に変わる。 このそれぞれにマーゴを中心としたキャラクターの感情が込められている。 ただ残念なことに、好きなシーンが多かったのにも関わらず、僕はこの映画を心から愛することはできなかった。 その最たる理由はマーゴに共感できなかったことだろう。 ダニエルと初めて関係を持つシーンがあるのだが、あまりにもストレートな描き方なので正直少し引いてしまった。 もちろんこれにも意味があり、「愛も初めは情熱的な盛り上がりを見せるが、結局は冷めてしまう」ことを表している。 このテーマ性は理解できるが、それまでは幻想的な映像が多かったのに、急に方向転換されるとさすがに戸惑う。 マーゴが余計に酷い人物に見えてしまうのだ。 だけど何度も言っているように全体的にはすごく好きだ。 一番好きなシーンはダニエルが引っ張る人力車にマーゴとルーが乗るシーン。 とても悲しくて胸が締め付けられる場面だ。 反してカラフルな町中の映像が余計にそれを際立たせる。 映画の方向性をもう少し統一できれば、名作になれたかもしれない。 だけどサラ・ポーリーに監督としての腕があることは間違いない。 次回作に期待するとしよう。 (2012年9月2日鑑賞).

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