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雇用契約書とは?労働条件通知書との違い、書き方と注意点を解説

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労働条件通知書とは 「労働条件」が書かれた文書 労働条件通知書というのは、労働契約を労働者と結ぶ時に、労働条件として賃金、契約期間、仕事の内容、仕事をするところ、時間などを書いた文書です。 労働条件通知書に書く必要がある内容は法令で決まっており、労働者、会社の両方とって非常に大切なものです。 平成30年1月1日から改正された職業安定法が施行されて、労働者を求人する場合の決まりが変わりました。 労働者をホームページなどで求人する場合などは、労働条件を労働契約を結ぶ前でも明示することが必要となっています。 なお、労働条件通知書の交付時期としては、労働契約を結ぶ時、初めに結んだ労働契約が変わった時となります。 雇用契約書、労働契約書との違い 労働者を会社で雇用する際の契約書は、雇用契約書あるいは労働契約書と言われています。 ここでは、雇用契約書、労働契約書との違いについてご紹介しましょう。 ・雇用契約書 雇用契約というのは、民法で決まっています。 会社に対して労働者が仕事を行うことを約束して、これに対して報酬を会社が労働者に与えることを約束すれば、雇用契約は成り立ちます。 雇用契約書は、雇用契約について民法で決まった内容を文書にしたものです。 ・労働契約書 労働契約というのは、労働契約法において「労働者が会社に使われて仕事をして、これに対して会社が給与を払うことに関して、労働者と会社が合意すること」と決まっています。 労働契約書は、労働契約について労働契約法で決まった内容を文書にしたものです。 雇用契約と労働契約では、約束する人が大きく異なります。 雇用契約の場合は契約が誰でもできますが、労働契約の場合は契約が労働者と会社の間でのみとなります。 例えば、一緒に暮らしている家族に、仕事を頼んでお金を払う際などは、労働契約はできませんが、雇用契約はできます。 ・雇用契約書と労働契約書はほとんど同じである 条文として雇用契約と労働契約に書かれている内容は、ほとんど同じです。 「仕事をすること」と、「お金をこの対価として払う約束」をしているものになります。 一般的には、雇用契約書という言葉を使用する場合が多いでしょう。 労働条件通知書が必要な労働者 労働契約を結ぶ全ての労働者に必要 労働契約を労働者と結ぶ時には、労働基準法施行規則などにある「決まり」を労働条件通知書にてまとめなければなりません。 そのため、労働条件通知書は、基本的には作成して交付する必要があります。 労働条件通知書でなくても、何らかの文書で明示すべき事項を通知すれば良いとされています。 なお、共通に労働者に明示する必要がある事項にプラスして、短時間労働者のパートや有期契約労働者などに関しては、個別に明示する必要があるものが決まっています。 労働者の場合は、今から仕事をする会社での賃金、契約期間、仕事をするところ、残業があるかどうか、などに関しては、生活に非常に関係するものであるため、仕事をする前に把握しておくことが必要です。 また、会社の場合でも、トラブルが先々発生するのを防止するために明確な労働条件を決めておく必要があります。 そのため、労働者、会社の両方にとって、労働条件通知書は必要になります。 労働条件通知書は、労働契約を結ぶ労働者の全てに交付する必要があり、正社員以外に、短時間労働者のパート、アルバイト、有期契約社員なども交付する対象になります。 労働条件通知書への記載事項について 労働条件通知書の場合は、絶対的明示事項という絶対に記載しないといけない項目と、相対的明示事項という記載しなくても良い項目があります。 絶対に記載しないといけない事項 ・契約を結ぶ期間 正社員で契約を結ぶ期間が必要ない場合は「なし」と書いて、契約を結ぶ期間がある場合はその期間を書きます。 ・仕事をするところ 基本的に、仕事をする会社やお店などがある住所を書きます。 ・仕事をする内容 幅広い仕事を行う場合は、書くのはいくつでも問題ありません。 ・始まる時刻と終わる時刻 決まっている場合は、その時刻を書きます。 シフト制などのために決まっていない場合は、決まりを書いても問題ありません。 ・残業があるかどうか 所定労働時間をオーバーして仕事をすることがあるかを書きます。 所定労働時間というのは、労働時間として会社が決めたものです。 ・休み・休暇・休日 休み時間や休暇、休日について書きます。 ・賃金、賃金を計算する方法・支払いする方法 賃金としては時給・日給・月給など、賃金を計算する方法、支払いする方法の銀行振込なども書く必要があります。 また、控除する税金や社会保険料なども書いておきます。 ・賃金を締める日と支払い日 賃金として何時から何時までのものを、何日に支払うかを書きます。 例えば、月末締めで支払いが翌月の15日、あるいは20日締めで支払いが当月末、などというように、会社の決まりに応じて書きます。 ・昇給 契約上は昇給がない場合でも、必ず書いておく必要があります。 昇給が無い場合は、「無」と書きます。 昇給がある場合は、昇給する基準や時期などを書きます。 ・退職 定年退職になる年齢、退職が自己都合の場合に連絡が何日前に必要か、などを書きます。 また、解雇される理由なども書きます。 記載しなくても良い項目 就業規則などが会社の決まりとしてある場合は、書く必要があります。 労働条件通知書に書かないで口頭で説明しても問題はありませんが、トラブルが後から起きるのを防止するには書いておく方がいいでしょう。 ・退職手当 制度として退職手当がある場合は書きます。 いつ、誰に、計算をどのように行った金額を、どのような方法で支払うかを書きます。 ・ボーナス・臨時の賃金 ボーナス・臨時の賃金というのは、業績がアップしたなどのために支給される賞与や報奨金のことです。 何時、どのようなことを基準にして、どのような方法で支払うかを書きます。 ・労働者が負担する作業用具や食費 食事を社員食堂などでサービスする際に食費として社員に払ってもらう場合、必要な制服や作業着などを買わせる場合は、明確に書いておくことが必要です。 ・安全衛生 保護具の着用、機械などの点検など、災害の補償、健康診断の回数や時期、喫煙するところなど、安全衛生についての事項を書きます。 ・職業訓練 会社で決められている職業訓練を受けることなどがある場合は書きます。 ・業務外の疾病や災害の補償 労働者が病気になったり、怪我をしたりした場合に、会社が行う補償について書きます。 ・表彰・罰則 表彰や罰則の制度が会社にある場合に書きます。 ・休職 法律で決められている産休などでなく、独自の会社の制度がある場合に書きます。 厚労省が公開する雛形 労働条件通知書を作る場合は、厚労省が公開している雛形()があるため、参考にするのがおすすめです。 なお、この労働条件通知書は雛形であり、労働条件の決め方によっては、この様式の通りでなくても問題ありません。 雇用形態別の記載事項の注意点 いくつかの項目に、労働条件通知書は分かれています。 また、労働条件通知書の内容が会社によってちょっとずつ異なる場合もあるでしょう。 ここでは、雇用形態別の記載事項の注意点についてご紹介しましょう。 大まかな労働条件通知書の内容は、ほとんど同じですが、雇用形態で変わることもあります。 正社員 正社員に関して、労働条件通知書は先程ご紹介したような項目が含まれた、一般的な内容であるケースが多いでしょう。 実際に労働条件通知書に書く内容としては、会社の住所・所在地、労働時間、労働条件、給与と支払日などがあります。 また、労働条件としては、労働契約期間、保険、いろいろな手当て、ボーナスの時期や金額などがあります。 具体的に書く方法としては、契約期間は何時から何時まで、始業時刻は何時、就業時刻は何時、休日は毎週何曜日、などというように細かく具体的なことを書きます。 パート・アルバイト パート・アルバイトは、労働時間が正社員よりも短いことが多いでしょう。 しかし、決まった時間にほとんど仕事をするため、前もって確認しておいた希望時間と擦り合わせを会社側が行った労働時間を労働条件通知書に書きます。 また、ほとんどの場合、時給で仕事をするため、いくらの時給になるかなどを書きます。 具体的に書く方法としては、時給は何円、1日の労働時間は何時間まで、などを書きます。 具体的に書く方法としては、勤務は何月~何月まで、勤務は週に何日、労働時間は1日に何時間、などのように書いて、学生などの場合は条件として「試験期間の間は休み」などを書くこともあります。 派遣社員 派遣社員の場合は、労働条件通知書が派遣元から送られることがあります。 この場合は、派遣先の職場の条件を書いていることもありますが、派遣会社自体の条件を書いていることもあります。 具体的に書く方法としては、派遣先の職場の場合は「どこの派遣先へ何月~何月まで派遣予定」と書いて、派遣先の職場の労働条件をこの後に書きます。 労働条件通知書が派遣会社自体のものの場合は、「派遣件数の最大の希望は何件」「職種は何年何月から何ヶ月間派遣されるものを希望」などというように書きます。 罰則について 雇用契約書を結ばなかった、労働条件通知書を交付しなかった、口頭でのみ労働条件を言った、などというようなことで労働条件通知書を明示することを怠った場合は会社の違反になり、労働基準法の第120条において罰則として30万円以下の罰金が課せられることがあります。 就業規則があることや内容を知らないというようなことをよく聞きますが、就業規則の周知を会社が徹底していない場合は、効力がない恐れがあるだけでなく、罰則もあります。 罰則については、労働条件通知書を明示するのを怠った場合と同じで、30万円以下の罰金が課せられることがあります。 労働通知書は労働契約を結ぶ全ての労働者に必要 条件面や就業規則などの説明は入社前後にしっかり行いましょう 労働条件通知書とは、労働契約を労働者と結ぶ時に、労働条件として賃金、契約期間、仕事の内容、仕事をするところ、時間などを書いた文書です。 労働条件通知書は、労働契約を結ぶ労働者の全てに交付する必要があります。 普段の業務内では当たり前のことかもしれませんが、しっかりとした説明ができているのか、改めて見直してみてはいかがでしょうか。 エンゲージメント向上のための社内制度のプラットフォーム『TUNAG』について あらゆる社内制度の実行を通じて、会社の課題を解決します TUNAGでは、会社と従業員、従業員同士のエンゲージメント向上のために、課題に合わせた社内制度のPDCAをまわすことができるプラットフォームです。 会社の課題を診断し、課題に合った社内施策をご提案、その後の設計や運用のサポートまで一貫して行っています。 課題の診断は、弊社の診断ツールを使い把握することが可能です。 ツールと専任のコンサルタントの支援で、経営課題を解決に貢献いたします。 経営理念や行動指針の浸透など、会社と従業員のコミュニケーションを円滑なものにするだけでなく、従業員同士でもコミュニケーション促進を行うことができます。

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労働条件通知書の書き方・記入例を解説!絶対的に必要な記載事項とは?

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労働条件は原則、書面で交付することが義務づけられていて、この書面を「労働条件通知書」といいます。 労働条件通知書と雇用契約書の違い 新たに労働者を雇用する場合には「労働条件通知書」と「雇用契約書」の両方を作成して本人に確認してもらうのが一般的です。 「労働条件通知書」と「雇用契約書」に記載される内容は非常に似ていますが、大きな違いは以下の3点です。 根拠となる法律 「労働条件通知書」と「雇用契約書」では、その根拠となる法律が異なります。 「労働条件通知書」は「労働者を採用するときには労働条件を明示しなければならない」と労働基準法で定められ、原則書面で交付することが義務づけられています。 一方、「雇用契約書」は民法第623条に基づいて、雇用主となる企業と雇用される従業員の間で雇用契約が結ばれたことを証明する書面です。 しかし民法第623条では「雇用は当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」と定められており、双方が契約の意思を示すことで効力を発し書類の発行までは求めていません。 ただし労働契約法では「労働契約の内容について、できる限り書面によって確認するものとする」と定められています。 義務か任意か 「使用者が労働者を採用するときは、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません」と労働条件通知書の作成は労働基準法により義務づけられています。 違反した場合には、30万円以下の罰金刑が科されます。 一方、雇用契約書は「できる限り書面で確認する」と労働契約法で定められており、契約書の作成は任意であり罰則などはありません。 契約か通知か 「労働条件通知書」と「雇用契約書」は企業と従業員との合意をどのように表すかという点が異なります。 「労働条件通知書」は企業が従業員となる人に対して、賃金や労働時間などの労働条件を明示する書面です。 言い換えれば、企業から従業員に対して一方的に行われます。 「雇用契約書」は企業と従業員の合意による契約であり、契約書の規則に沿って書面が2部作成され、企業と従業員が署名捺印をして保管します。 労働条件通知書を発行する対象者 繰り返しますが「労働条件通知書」は「労働基準法」によって発行が義務づけられています。 そして「労働基準法」は、正社員やアルバイトなど雇用の形態を問わずすべての労働者に適用されます。 したがって、雇用形態に関わらず雇用する従業員全員に発行する必要があります。 また、「パートタイム労働法」では、短時間労働者を雇用した時には書面によって労働条件を明示することを義務づけています。 労働条件通知書を発行するタイミング 「職業安定法」が2018年に改正され、ハローワークなどへの求人申込みや自社のホームページで従業員の募集や求人広告の掲載などを行う際には、求人票や募集要項において、労働条件を明示することが必要となりました。 「労働基準法」では「労働条件通知書」を発行するタイミングは、労働契約の締結時と定められています。 内定時に渡す新卒者への内定通知書に「労働条件通知書」の必要事項がすべて記載されている場合には、内定通知書を「労働条件通知書」に代用することもできます。 しかし内定通知書には必要事項が記載されていないのが一般的なので、企業が別途「労働条件通知書」を発行するのが望ましいでしょう。 労働条件通知書に明示すべき記載事項 労働基準法の第15条では事業者が労働者を採用する際に、労働条件を明示しなければならないと定められています。 その内容には「必ず明示しなければならない労働条件」と「定めをした場合に明示しなければならない労働条件」があります。 記載事項(必ず明示しなければならない事項) 労働者を採用する際に、以下の7つの労働条件は必ず明示しなければなりません。 そして、上記の7つに関する内容は原則、書面で交付しなければなりません。 ただし労働者が希望した場合には、書面として印刷できるFAXやメールなどで交付することができます。 契約期間に関すること• 期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること• 就業場所、従事する業務に関すること• 始業・終業時刻、休憩、休日などに関すること• 退職に関すること(解雇の事由を含む)• 昇給に関すること 2. 記載事項(定めをした場合に明示しなければならない事項) 以下の事項は労働条件として、定めをした場合には明示する必要があります。 退職手当に関すること• 賞与などに関すること• 食費、作業用品などの負担に関すること• 安全衛生に関すること• 職業訓練に関すること• 災害補償などに関すること• 表彰や制裁に関すること• 休職に関すること 労働条件通知書の記入例 人事ZINEでは、労働条件通知書のサンプルとなるテンプレートをWordファイル形式でダウンロードいただけます。 厚生労働省の書式をベースに、企業と内定者の双方が納得するための3つのチェックポイントも紹介しております。 よろしければ参考にご活用ください。 労働条件通知書(正社員) 上記リンクに掲載されている様式を参考に、自社の労働条件の定めに合わせて作成するとよいでしょう。 なお、試用期間中の労働条件と本採用後の労働条件が異なる場合には、それぞれの労働条件を分けて明示しなければなりません。 労働条件通知書(パート社員) 以下の項目はパート社員など短時間労働者への労働条件通知書に必要な記載事項です。 労働契約の期間• 就業場所と従事する業務の内容• 始業と終業時刻、所定時間外労働の有無、休憩時間、休日・休暇、交代制の勤務をさせる場合はその配置• 賃金の決定・計算・締切、支払の時期・方法• 退職に関すること(解雇の事由を含む)• 退職金の有無• 昇給の有無• 賞与の有無• 雇用管理の改善などに関する相談窓口 パート・アルバイト社員など非正規雇用者の場合、さまざまな働き方があることから、雇用後に労働条件についてトラブルになるケースが多くあります。 上記の1~5は正社員など一般の雇用者にも適用される内容です。 6~9は非正規雇用者にとって、トラブルとなりやすい事項として追加されています。 自社の労働条件・労働環境を加味した労働条件通知書を作成する必要があるでしょう。 労働条件の明示は法律で定められた義務 採用時に労働条件を明示することは、労働基準法によって定められた義務です。 違反すると罰金刑が科せられます。 さらには、従業員とのトラブルに発展する可能性があるだけでなく、企業の社会的信用を失うことにもなりかねません。 新卒者を採用する際には、内定時に「労働条件通知書」を発行するのが一般的です。 採用担当者は内定者に自社の労働条件を加味した「労働条件通知書」を必ず渡しましょう。

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雇用契約と労働契約の違い 企業とそこで働く従業員が労働条件に関して合意し締結する契約を、「雇用契約」と呼んだり、「労働契約」と呼んだりします。 Googleでキーワード検索すると、2020年1月現在では 雇用契約 89,100,000 件 労働契約 74,200,000 件 と「雇用契約」のほうが検索ボリュームが大きく、実際企業が作成する契約書のタイトルにおいても、「雇用契約書」と題されている事例を多く見かけます。 この二つの語は、法律上どう定義され、どのような違いがあるのでしょうか? 1. 1 「雇用契約」は民法で定義 まず雇用契約については、民法第623条にその定めがあります。 第六百二十三条 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。 労働に従事した分相手に報酬を与える契約が、雇用契約である、とあります。 淡々とした条文ですが、 雇用主と労働者が対等である関係を前提としている点や、 「報酬」を金銭と限定していない点が特徴的です。 2 「労働契約」は労働契約法で定義 一方、労働契約については、労働契約法第6条に以下のように定められています。 第六条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。 「労働者/使用者」、「賃金」という語句にもあらわれているように、 事業者が個人を金銭を対価として労働に従事させる 前提の条文です。 このように、雇用契約と労働契約の細かな定義の違いはあれど、 労働契約イコール雇用契約と考えて差し支えないというのが、法律上の取扱いとなっています(森戸英幸『プレップ労働法[第6版]』(弘文堂,2019)P14)。 3 労働法が民法に足りない「労働者保護」要素をカバー ところが、民法の条文を見ていくと 雇用する者と労働に従事する者が完全に対等な立場にあるという前提から、労働者に不利な条文が存在 しています。 たとえば、民法627条には、 第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。 この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。 とあり、契約期間を定めず無期雇用している企業は、2週間前に予告すれば、ペナルティなく労働者との契約を解除できることになっています。 これでは、労働者が急に解雇され、急に次の職場を探したり引っ越しも必要となるなど、安定的な生活を営むことはできません。 そこで、明治29年に定められた一般法としての民法の原則を労働者の立場からカバーすべく、昭和29年に労働基準法が、平成19年に労働契約法がそれぞれ特別法として施行され、 民法に定められた原則を2つの労働法が上書きし、労働者をより手厚く保護 しています。 とはいえ、一般法としての民法の原則は、労働基準法や労働契約法によって上書きされた特別な条件を除いて現在も生きています。 そのため、通称としては「雇用契約」や「雇用契約書」という呼び方が現在でも使われている、というわけです。 雇用契約書と労働条件通知書の違い 企業が労働者と雇用契約を締結する際、「雇用契約書」と「労働条件通知書」の2通を受け取ることがあります。 これはなぜでしょうか。 方法 関連法令 罰則の有無 労働条件通知書 書面・電子メール等で交付義務あり 労働基準法第15条1項他 罰則あり 雇用契約書 書面・電子メール等での締結義務なし 民法第623条 罰則なし 2. 1 雇用契約書の締結は法的には必須ではない 雇用契約を締結する際には、民法の「契約の形式自由の原則」により、 必ずしも企業(使用者)と労働者の双方が文書としての契約書を締結する必要はありません。 なお念のため、民法の特別法としての労働契約法第4条には、 第四条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。 2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。 )について、できる限り書面により確認するものとする。 とあり、契約内容の「確認」を「できる限り書面」で行うことが推奨されていますが、それでもなお法的にはマストではありません。 2 労働条件通知書は書面・電子メール等による交付が必須 一方、労働基準法第15条1項および同施行規則第5条には、企業(使用者)は、 労働条件のうち一定の事項について書面または電子メール等で明示する義務があります。 この義務には、違反した際の罰則もあります(労働基準法第120条1項)。 この定めにより企業が労働者に対し労働条件を通知する書面を、一般に「労働条件通知書」といいます。 民法上雇用契約書の形式は自由であるが、労働条件通知については決まった形式で書面・電子メール等で交付が必要。 こうした背景から、雇用契約書と労働条件通知書が2通に分かれていることが多くなっています。 3 労働条件通知書の交付義務とは 労働条件通知書の書面・電子メール等交付義務について、もう少し詳しく見て見ましょう。 労働基準法第15条1項の条文を確認します。 第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して 賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。 この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、 厚生労働省令で定める方法により明示 しなければならない。 そして、この条文でいう「厚生労働省令」が、労働基準法施行規則第5条のことを指しています。 第五条 使用者が法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする(略)。 一 労働契約の期間に関する事項 一の二 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項 一の三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項 二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項 三 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。 以下この号において同じ。 )の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 四 退職に関する事項(解雇の事由を含む。 ) (四の二〜十一 略) 2 使用者は、法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない。 3 法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、第一項第一号から第四号までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。 )とする。 4 法第十五条第一項後段の 厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付 とする。 ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法 とすることができる。 一 ファクシミリを利用してする送信の方法 二 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(略)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。 ) ここに列挙された雇用契約の期間・就業場所・就業時間・賃金・退職の条件といった基本的事項は、紛争のポイントともなりがちであるため、証拠として残りやすくするよう、 書面または電子メール等で交付するよう義務付られています(なお、パートタイマーは別途明示義務事項の追加があります)。 労働条件通知書の一般的な形式とひな形 労働条件通知書のひな形については、厚生労働省および各地方労働局が、WordファイルやPDFファイルの形式で様式集を提供 しています。 記入の要領も細かくファイルの中に記載されています。 よほどの事情がない限りは、この様式集に従っておいたほうがよいでしょう。 mhlw. html 2019年5月17日最終アクセス 4. 雇用契約書の一般的な形式とひな形 雇用契約書の形式はさまざまですが、大きく分けて以下の3パターンがあります。 パターン1:「労働条件通知書」の交付のみ 労働条件通知書は交付するが、雇用契約書は(法的義務がないことから)とくに文書化しない、というパターンです。 こうした企業は、実は少なくありません。 とはいえ、後述するように労働紛争の発生確率の多さから考えても、本人が確かに労働条件について自ら確認し、就業規則を含めて契約に合意したという証拠は、何らか形に残しておくべきでしょう。 パターン2 :「労働条件通知書」と「雇用契約書」の2つを別々に締結 厳密なコンプライアンスを追求する企業では、 労働条件通知書を送付の上、通知書および就業規則の中で特に重要なポイントを抜書きした契約書を別途作成 しています。 しかしながら、この方式を採用してしまうと、結果として雇用契約を締結するたびに2つの書類を作成することとなり、書類作成・押印等の事務処理の手間も2倍になります。 パターン3:「労働条件通知書兼雇用契約書」としてまとめて締結 効率化を追求しつつ、労働条件の確認も徹底する方法はないものでしょうか? その実務上の工夫の一つに、 「労働条件通知書」と「雇用契約書」の2つを一体の文書としてまとめ、労働条件通知書の末尾に以下のような文言を加えて労働者に記名押印(または署名)させる方法があります。 労働条件通知書の末尾に加えて記名押印(または署名)させる方法 この方法によれば、書面が1通で済むだけでなく、• 企業が労働条件通知書を送付することで雇用契約を申込み• 労働者がその内容を確認して承諾することで雇用契約が成立する という法的な契約成立プロセスにも即しており、きわめて合理的な方法と考えられます。 雇用契約書を電子化する場合に注意すべき3つのポイント 「労働条件通知書兼雇用契約書」として文書を1通にまとめたとしても、契約書を締結しようと思うと印刷・製本・押印・郵送…と面倒がつきまとうものです。 ここで、これまで紙と印鑑で締結していた 雇用契約書を電子契約に切り替えれば、毎月入社者が発生するたびに契約書の製本、双方の押印、郵送等最低でも1〜2週間はかかっていた契約事務処理のスピードを、大幅に短縮 することができます。 またスピード面だけでなく、 郵送や印刷にかかっていた費用も削減 でき、またクラウド上で原本を保存するため、 書類のファイリングや検索といった管理の事務処理もスリム化 することができます。 ただし、電子契約化によるメリットは多い一方で、注意しなければならない点が3つあります。 ポイント1:証拠力の確保 その一つが、契約としての証拠力をいかにして確保するかという点です。 大変残念なことではありますが、 雇用契約は、企業が締結する契約の中でも特に紛争が発生しやすい契約の一つ だからです。 jil. html より 万が一にも労働者との間で労働審判や訴訟などになった際に備え、双方の合意内容が法的証拠として問題なく用いられるものであることが重要です。 そのためにはたんなる電子メールの交換やサーバー上での同意記録だけではなく、 改ざんが防止でき原本性が主張しやすい電子署名が付与されている サービスを選ぶべきでしょう。 ポイント2:電子帳簿保存法への対応 2つめが、データ保存義務です。 電子契約によって雇用契約を締結した場合、 契約の原本としての電子データを、電子帳簿保存法第10条および財務省令の要件を満たす形式で保存する義務がある ことにも注意が必要です。 第十条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。 )及び法人税に係る保存義務者は、 電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存 しなければならない。 ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない。 この条文にいう「財務省令で定める」方式の詳細は、電子帳簿保存法に関する解説記事()をご覧いただければと思いますが、主な要件として、• 真実性の確保(認定タイムスタンプまたは社内規程の定め)• 見読性の確保(納税地で画面とプリンターで契約内容が確認できること)• 検索性の確保(主要項目を範囲指定および組み合わせで検索できること) があります。 特に1の「真実性の確保」は、を付与しない簡易な電子契約サービスでは要件を満たさないケースもあるため、注意が必要です。 の有料プランでは、電子署名に加えてこの認定タイムスタンプをすべての文書に付与しています。 ポイント3:労働条件通知書の交付 前述したとおり、 労働条件通知書は一定のフォーマットに従って書面・電子メール等で交付する義務 があります。 あくまで「交付」が義務ですので、両者が押印する契約書のような手間はありませんが、電子メール等電磁的方法で交付する場合は、労働基準法施行規則の定めにより 本人の希望を確認 する必要があります。 この本人希望の確認の具体的方法については、平成31年4月厚生労働省労働基準局「改正労働基準法に関するQ&A」において、以下のように記載されています。 (Q)労働者が希望した場合には、ファクシミリや電子メール等で労働条件を明示することができるようになりますが、口頭により希望することも認められますか。 また、労働者の希望の有無について、明示をするときに個別に確認する必要がありますか。 (A)則第5条第4項の「労働者が(中略)希望した場合」とは、労働者が使用者に対し、口頭で希望する旨を伝達した場合を含むと解されますが、法第 15 条の規定による労働条件の明示の趣旨は、労働条件が不明確なことによる紛争を未然に防止することであることに鑑みると、紛争の未然防止の観点からは、労使双方において、労働者が希望したか否かにつ いて個別に、かつ、明示的に確認することが望ましいです。 従い、労働者との間で明示的に「確認した」という文言を含む記録を作っておくことがベターとなります。 無料でダウンロードして使える「Word版 労働条件通知書 兼 雇用契約書ひな形ファイル」を公開 サインのリ・デザイン編集部では、厚生労働省による労働条件通知書ひな形をベースとして、• 労働条件通知書電子化の要件を満たしつつ• 労働者と雇用契約を締結した証拠を確保できる 書式として作成した「労働条件通知書兼雇用契約書ひな形」を、下記リンクからダウンロードできるようにしました。 このファイルに必要事項を記載し、電子メール等で送信の上労働者に記名押印(または署名)していただくことにより、労働条件通知と雇用契約の締結が完了できます。 電子契約をご利用いただければ、さらにかんたん・スピーディに雇用契約締結のすべての工程を電子化できます。 森戸英幸『プレップ労働法[第6版]』(弘文堂,2019)• 倉重公太朗『企業労働法実務入門 書式編』(企業人事労務研究会,2016• 関連記事•

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