原油価格。 原油価格の推移

原油急落……「1リットル15円」でもガソリンスタンドが大幅値下げしないワケ (1/2)

原油価格

サウジアラビアなどの石油輸出国機構(OPEC)に、非加盟のロシアなどを加えた「OPECプラス」が、原油の協調減産で合意した。 規模は過去最大の日量970万バレルで、世界生産量の1割にあたる。 今年1月、1バレル=60ドル台をつけた米国の原油先物価格は、3月には約20ドルに急落した。 減産はこれに歯止めをかける狙いがある。 価格下落の発端は、3月上旬のサウジとロシアの減産協議決裂である。 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による原油需要の落ち込みも下げに拍車をかけた。 サウジなどは一時、増産の方針さえ打ち出した。 さらに価格を引き下げ、採掘コストの高い米国のシェールオイル生産に打撃を与えようとしたのではないか。 これに対し、世界最大の産油国である米国のトランプ大統領は、減産の実現へ仲介に乗り出した。 トランプ氏の支持基盤である米石油業界が、原油市況の低迷で窮地に立たされているためだ。 OPEC側も、さらなる価格下落による収入減に危機感を強め、大幅な減産で折り合った。 巨大な石油市場の主導権を巡る産油各国の思惑が交錯した末の協調減産だったことを物語る。 原油を輸入に頼る日本には、安い方がメリットは大きい。 ガソリンの値下がりなどで、家計のほか、燃料を多く使う物流業界や航空会社にも幅広く恩恵が広がる。 一方で、原油価格が急落すれば、原油収入に依存する産油国の財政や景気を悪化させる。 国際金融市場に流れるオイルマネーは投資に慎重になりがちだ。 世界同時株安の一因になるなど、金融市場にとって波乱要因である。 市場の動揺を招いて、日本経済にも悪影響が及ぼう。 協調減産で、一段の下落を食い止める試みは、日本にとっても歓迎すべき動きと言える。 しかし、今回の減産合意後も原油市況は低迷している。 感染拡大による需要減は、日量2000万~3000万バレルに上るとされる。 今回の減産では、効果は限られるとの見方は根強い。 減産の枠組みに米国は加わっていない。 国営のサウジなどと違い、米民間企業への減産強要は難しいが、国家備蓄を増やして供給を抑えるなど、協力の余地はある。 産油国は、自国の利益追求に終始せず、原油市場が混乱しないよう協調を強めてもらいたい。

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原油価格(WTI原油先物) 金先物価格 リアルタイムチャート

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5月物の価格が一時、マイナス圏に突入したのである。 これは市場の混乱に伴う一時的なものだが、その背景にはコロナ後の社会は、需要と供給の関係が一変するのではないかとの不安心理がある。 今回の危機が一段落した時には、従来の価格や価値の概念が大きく変わっているかもしれない。 6ドルまで下落した。 原油価格がマイナスになるというのは、これまでにあり得なかったことである。 「価格がマイナス」と聞いてもピントこない人も多いと思うが、要は原油を買ってもお金を払う必要はなく、逆にお金がもらえることを意味している。 では、なぜこのような事態に陥ってしまったのだろうか。 重要なポイントは、マイナスになった商品が、5月を期限とする先物という点である。 先物市場というのは、将来のある時点で商品を引き渡すことをあらかじめ確約した取引で、5月物の先物を購入した投資家は、5月末までその先物を保有していた場合、その商品(この場合は原油)を引き取らなければならない。 逆に5月物を売った投資家は、代金を受け取ることで商品から手離れできる。 通常、5月物の原油を購入した投資家は、それを事業会社に販売して利益を得ることになるが、5月時点でまったく原油の需要がなかった場合、誰もその原油を買ってくれなくなる。 原油は保管に莫大なコストがかかるので、持っているだけで大きな損失になってしまう。 つまり、あくまで5月に限った話だが、売れる見通しがなくなったことから、5月物を保有している投資家はお金を払ってでも引き取って欲しいと考えた。 これが「価格がマイナス」になった理由である。 当然、石油の需要が減少している理由はコロナショックだが、いくら新型コロナの感染が拡大したからといって、石油の需要が消滅するわけではない。 しかしながら急激な経済の縮小で、5月という時期に限って言えば、原油を調達しようという人がいないので保有者はもてあましてしまったという図式である。 6月が期日となっている取引を見ると、価格は暴落しているが、5月物のようなマイナス価格にはなっていない。 これまでもリーマンショックなどの危機が発生した時には、原油価格は乱高下してきた。 それにもかかわらず、なぜ今回は価格がマイナスという異常事態になったのだろうか。 その理由は、長期的なスパンでは、もはや原油は重要な資源ではなくなっているという、大きな見立てが市場に台頭しているからである。 近年、原油の採掘コストは上昇を続けており、以前のようにタダ同然で石油を掘れるという状況ではなくなっている。 一方で再生可能エネルギーのコスト低下が進み、エネルギー供給全体に占める比率も顕著に高まっている。 皮肉なことだが、中東の産油国は砂漠地帯で日射量も多いので太陽光発電のコストが低く、むしろ石油よりも安価にエネルギーを調達できる可能性も取り沙汰されている。 加えて、コロナショックが終息した後には社会のIT化が一気に進み、グローバルな調達網(サプライチェーン)が見直されるとの指摘も多い。 これまでの時代は、最もコストが安い地域から地球を半周してでも資材を調達するのが当たり前であり、人が直接各地域を行き来してビジネスに励んでいた。 こうした環境だからこそ、LCC(格安航空会社)のビジネスが発達したともいえる。 このような社会を維持するためには大量のエネルギーが必要となるわけだが、コロナ後にはビジネスのIT化や商品の地産地消化がさらに進み、エネルギーの需要は大幅に減少する可能性が高い。 そうだからといって石油の需要がなくなるわけではないが、石油がないと何もできないという従来の価値観はすでに過去のものとなりつつある。 こうした長期的な見立てが存在しているからこそ、一時的な混乱とはいえ価格がマイナス圏に突入するという異常事態が発生したと考えるべきだろう。 つまり、価格がマイナスになるという今回の混乱は、ポスト・コロナ社会の予兆と考えるべきである。 これまで繁華街やビジネス街の交差点に面しているビルの1階というのは、とてつもない賃料相場となっていた。 銀行やコンビニ、飲食チェーン店など、あらゆる業界がこぞって、この場所に店舗を構えることを望んだからである。 しかしコロナ後の社会では、銀行はさらに店舗網を縮小して サービスのIT化を進め、外食産業はデリバリー対応を強化するだろう。 すでに店舗過剰が指摘されているコンビニも、同じ水準の店舗網を維持するとは思えない。 そうなると、極めて高額の家賃を支払ってでも、交差点に面した場所に店舗を構えるという企業は少なくなり、こうした物件の相場は大きく崩れる可能性が高い。 この話はたかが不動産の賃料とは考えないでほしい。 不動産というのは私たちの生活に密接に関わっており、あるカテゴリーの賃料相場が変化すると、不動産の利用方法が大きく変わり、最終的には私たちのライフスタイルにも影響を与えるのだ。 社会のIT化が高度に進んだ場合、不動産がどのように利用されるのか現時点で詳細に予測するのは不可能だが、思ってもみなかった変化が起こる可能性は高いと筆者は考える。 今、休業要請で大変な状態となっているイベント関係も、コロナがいったん落ち着けば営業を再開するだろう。 だが中長期的に感染症は事業における大きなリスク要因であり、この業界の基本的な価値観も大きく変わる可能性が高い。 イベントの在り方が変化すれば、当然、私たちのライフスタイルにも変化が訪れるはずだ。 このほか、テレワークの普及でスーツの需要がさらに減ったり、訪問営業という手法や、長時間の通勤も消滅に向けて動き始めるかもしれない。 一連の話は、社会のIT化によって起こる変化と言われてきたものばかりだが、コロナをきっかけに一気に加速する可能性が高まっている。 少なくとも、従来の「価値」や「価格」の概念はいったん、リセットするくらいの覚悟が必要だろう。 加谷珪一(かや けいいち/経済評論家).

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原油減産合意 価格の安定へ協調を続けよ : 社説 : 読売新聞オンライン

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89年にダイヤモンド社に入社、週刊ダイヤモンド記者に。 証券・損保・ノンバンク、自動車、マクロ経済・マーケットを担当。 10年より副編集長。 現任のマクロ経済・マーケット担当は通算20年を超える。 リーマンショック時は、欧米金融機関の損失発生の構造分析に注力。 主な担当特集は「倒産危険度ランキング」、「この会社の正しい株価」など。 趣味はスポーツ観戦。 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト• 逆オイルショック経済 原油市場が史上初のマイナス圏に突入した。 4月20日に米WTI原油の先物価格がマイナス40ドルを記録、原油の売り手が買い手にお金を支払う前代未聞の異常事態である。 権益を巡って戦争まで起こるほど重要な資源であった原油に今、何が起きているのか。 いまだかつて経験したことがない「逆オイルショック経済」。 世界経済を揺るがす、この異常事態を読み解く羅針盤となる緊急特集をお届けする。 原油価格の代表的指標であるWTIが一時、史上初のマイナス価格に沈んだ。 コロナ禍に端を発する経済失速による需要蒸発で原油は大幅な供給過剰。 今後も価格低迷は不可避だ。 採算の取れなくなったシェール企業の破綻が相次げばハイイールド債、CLO(ローン担保証券)などの価格が下落し、金融危機を招きかねない。 特集の#1では、原油価格がマイナスに陥った背景と原油価格低迷が金融危機を招くメカニズムを解明する。 4月20日、原油価格の代表的指標の一つであるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は率にして前週末比305%、額にして1バレル当たり約56ドル下落し、マイナス37. 63ドルを付けた。 価格がマイナスになるのは史上初である。 第4次中東戦争勃発を機に起きた1973年の第1次オイルショック時に、ペルシャ湾岸の産油国は原油価格を約4倍、率にして300%前後引き上げた。 マイナス価格は、売った側がおカネを払い、買った側がおカネをもらえる異常な状態だ。 なぜ、こんな事態になったのか。

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